一般社団法人 宮大工養成塾

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若手宮大工は、自学自習を体得すべし

2022.02.23
日曜日 自作道具をつくる塾生

宮大工養成塾では、自習というものに重きを置いています。自習とは、もう少し詳しく話すと、自学自習の事を指します。なぜ、自学自習を大切にするかというと、職人になってからのキャリアアップにとても関係していますので、その辺りをお話させて頂きます。

職人として認められる修行の年数

宮大工の職人として認められるまでに必要な年数がだいたい3年と言われています。なぜ3年掛かるのか?通常の作業と自習の時間などを細かく算出した結果、隠された要素に気付きました。ある必要時間を満たすと丁稚から職人と認められる水準まで成長する事がわかりました。大切なのは、年数ではなく、どれだけ自習をしたか?という時間になります。今回は、職人になってからのキャリアップについてお話をしていきます。

自習とキャリアップ

宮大工という職人は、大きく大工・引頭・長・連に分けられます。簡単にいうと連は下積みの段階で、長からが職人1年生になります。長になった職人でも、大きく2つに別れます。それは、自習をする長と自習をしない長です。自習とは、自らが資質向上のために時間の投資を行う事です。この自習とは、強制されるものではありませんので、自由です。しかし、下積みの間に、自学自習を体得できた人と、そうで無い人では、キャリアップに大きな差が出ます。

宮大工の一番多い階層

宮大工の一番多い階層は、長の階層です。長とは、ディレクターである引頭が墨付けした部材を刻んだり組み立てしたりする階層になります。大工・引頭という階層は、選ばれし人材でそれだけ日当も高くなります。引頭は、設計図から原寸図を書いて、墨付けをして現場を納めるディレクターのポジションになります。それだけ責任が重大という訳です。

長が多い理由

長が多い理由は、刻み仕事・組み立ての仕事が出来て、それなりの日当がある事に満足して、向上心のない宮大工が多いという事です。たしかに仕事をして、夜は家に帰って休みたい。飲みいって、遊びたい。などそれは至って普通のことですが、下積み時代に自学自習が身についている人は、もっと成長したい。早く良い仕事を任せられて、墨付けもしたいし、原寸も描けるようになりたい。という向上心があります。なので、自分に何が不足していて、何を学ぶ必要があるのか?また、学ぶ情報をどうやって集めてきて、実際にどう学ぶのか?具体的かつ実行をしていくので、自習時間(資質向上の時間)の差が出てきます。職人になると先輩の職人の影響も受けるので、この先輩みたいな感じで職人をしていくんだろうなぁと見切りをつけてしまい、仕事は出来ますが、向上心のない職人が多くなるのは、自学自習が体得出来ているか?という点がキモになります。

自習の濃度も大切

日曜日 月曜日に使う刃物を仕込む塾生

自習が大切だ。自習が大切だ。中には無理やりやらされている表面的な人もいています。やればいいんでしょ?という打算的な自習は、やならいよりかはましですが、あまり資質向上にはつながりません。実際にあったケースをお話ししますと、刃物研ぎすればいいんでしょ?という子は、「刃物研ぎ」というジャンルの「平に研ぐ」という技術しかありません。これは、3ヶ月もあれば、習得できる技術ですが、その子にとっては、伸び代はそこまでです。「刃物研ぎ」とはなんだ?なぜ刃物研ぎを重要にしているのか?という風に刃物研ぎを研究していないので、「刃物研ぎ」という幹があるのに、枝葉の部分が「平に研ぐ」だけではもったいないです。追及する心の中から、平に研げたのであれば、早く研ぐためにはどうしたらいいのか?キレる刃にするためにはどういう研ぎ方がいいのか?長くキレる刃にするためにはどういう工夫がいるのか?一枚鉋で逆目をとめる研ぎ方はできないか?昔の人は、一枚鉋でどうやって逆目をとめていたんだろうか?など研究すればキリがないですが、「刃物研ぎ」という事一つにしても、研究している人と、やらされている人とでは自習の濃度が違うということです。どうせ自習をするのだから、ただ自習をするのではなくて、「濃度」というものを研究していくと、自習の1時間がとても貴重な1時間になります。

頭は後、行動が先

頭では自習が必要な事が分かっていても、なかなか行動に起こせない人がいます。宮大工の多くが長である理由は、これです。みんな分かっているんです。けども、何かを理由に自分の脳に出来ない理由とか妥協する理由を並べられて行動できなくなります。私の師匠の師匠である法隆寺最後の宮大工:西岡常一棟梁の言葉で、「動きながら考える」という言葉があります。あれこれ考えてから動くのではなく、動くという事が先という事です。これを自習に当てはめると、理屈よりも行動が先であるので、まずは自習をするのだから、自習できる場所に移動する事です。仕事が終わって、晩飯を食べたら、部屋にはいって一服するのではなく、自習できる場所にいって、一服しましょう。部屋に入ったら、自習はかなりの確率でできなくなります。今、修行している人や職人になってから自習がなかなか出来てない人は、過去を振り返ってみてください。そういう傾向にあると思います。実は、宮大工養成塾では、これが出来るようになるノウハウがあります。が本人が矯正プログラムに参加する事を選択しなければいけません。

分かっている、けども出来ないんだ!!

という重傷の方は、もう一つ、方法があります。それは、自習をしている人に、声かけしてもらって、一緒に自習をする事です。自習をするという事に関して、完全に託します。その人が自習にいくぞ。といえば、必ずそれに従う事がルールです。もちろん、相手からすれば手間なので、コーヒーを奢るなど、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

まとめ

職人になるには、ある一定の必要時間を消費する必要がある。

キャリアップしたければ、自学自習を体得する必要がある。

多くの職人は、長という階層で終わってしまう

自習には「濃度」という概念がある

自分の意志とは弱いもので、まずは行動する事が先。

自分で出来ない場合は、周りを巻き込む

キャリアアップする素地を身につけたければ、宮大工養成塾に入ろう(違うか笑)

最後に

これから宮大工を目指す子に伝えたいことは。打算的に長の宮大工でなんとなく終わるという風になってほしくはないです。自学自習というものを体得すれば、必ず棟梁になれます。宮大工棟梁を目指してほしい。しかし、棟梁になるには、世襲を置いといたとして、努力する事が必要です。自学自習をして常に資質向上に努める。若いうちにどれだけ努力したかで、将来が決まります。棟梁になれるのは、全体の3%〜6%くらいです。この成功者を見ていくと、若いうちに努力した人になります。若いうちは、多く人は遊びたいという気持ちがほとんどです。その中、高い目標を持ち努力をした3%の子が棟梁になるんだと思います。ぜひその3%に入ってほしい。もしくは、3%という数字を10%に引き上げれるくらいの人間になってほしい。私は、それが自学自習という絶対に成長してしまう能力を体得する事にあると思います。一緒に宮大工業界を変えていきましょう!!